ホーム > 随筆 > 神・イエス・人 その関係はいかなるものなのか?
今回は、神と我々人間との関係を、イエスの十字架との関わりで述べていく。前回は、神は我々人間についてどのようにお考えなのか?という問いで終わった。つまり、このような混沌とした世の中で苦しんでいる我々を、神はなぜ放っておかれるのかという問いである。しかし我々は、神の真の姿を知ったとき、その問いの立て方そのものに問題があることに気が付く。どういうことか。
聖書には次のような言葉がある。
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神は、実に、そのひとり子(イエスを指す)をお与えになったほどに、世を愛された。
それは御子を信じる者が、ひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。
引用:「新改訳」聖書(日本聖書刊行会)
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この意味がお分かりだろうか。神は、我々人間の罪を赦すためにイエスをこの世に誕生させたという意味である。もっと言えば、神のひとり子であるイエスを誕生させ、最後には十字架にかけられて殺される為に誕生させたという意味である。無論、イエスが十字架につけられ殺されるのは、自らの罪によるのではない。他ならぬ、「我々の罪を全て引き受けて」死ぬためなのである。神は、そのことを成就させるためにイエスを誕生させたのであった。ただし、ここまで書いても、やはり首を傾げざるを得ない方々はかなり多いのではないか。殺される為に誕生させるとはどういうことだ?イエスが我々の罪を引き受けるとはどういうことだ?イエスが十字架で死ぬ、とはどういう意味があるのだ?
そのような疑問がわいてくると思う。神は自らの人間に対する「愛」を示すために、イエスを誕生させた。この事を理解するために、我々は親子の関係を考えてみる必要がある。これを読まれている方々の中にも、お子さんをお持ちの方がおられるだろう。そう、可愛い。実に可愛い。なぜ、うちの子は他の子と比べものにならない程に可愛いのか、と思われるだろう。それが親の、子に対する気持ちというものである。まず、その方々にお尋ねしたい。親である自分と、我が子とどちらかを選べ、と言われたらどうされるだろうか?なるほど、これだけでは意味が分からないかもしれない。では、もっと踏み込んで考えてみよう。
例えば、今我々は戦争が行われている中で生活していると仮定しよう。成人男子は全て戦地に赴いていて、母親と幼い女の子二人だけで生活している。不安な毎日を過ごしながらも、なんとか無事に過ごしていた。そんなある日、突然、敵軍がその家に攻め込んだ。すぐさま二人は捕えられ、それぞれの頭には銃口が付きつけられた。幼い女の子は労働力にはならず足手まといになるだけなので、敵軍は迷わず銃殺しようと試みる。さてここからが問題だ、その母親はどのような行動を取るだろうか?悲しみにくれながらも、その光景をただ呆然と見つめているだけだろうか。それとも、すぐさまその銃口と我が子との間に割って入るか。おそらく、誰しも後者を取るだろう。そしてこう言う。「私を殺せ!この子の為に死ぬのなら、この命は惜しくない!だから、私を殺せ!」と。
さて、今我々はとてもショッキングな光景を想像してみた。それは、親が我が子を思う気持ちを理解する為である。親は誰しも、子供の為になら死ねると思っている。我が子が殺されていく光景を見るくらいだったら、むしろ自分の命を捧げる覚悟を持っている。しかし他の誰かを助けるために、愛する我が子を殺されるままにする親がいたとしたら・・・。我々人間には、にわかには信じられないことである。
しかし、それが「神」であった。神は愛する我が子イエスが十字架にかけられるのを、深い沈黙をもってそのままにされた。どういう事か。神は我々に自らの愛の深遠さを示すために、究極的な方法でそれを示された。先ほどの例を思い出してもらいたい。親は子供を殺すことよりも、自分を殺すことを選ぶほどに、子供を愛している。ということは、「その子供が殺されるのを赦すことで」我々には到底理解し難いほどの大きな愛を示すことができるのである。
愛する我が子が殺されるのを黙認してまで、我々人間の罪を赦そうとした、というのが十字架の意味である。我々は、その「事実」を受け止めるだけで救われる、とされたのだ。つまり、その神の大いなる愛を受け入れる、その十字架が他ならぬ我々の為であったことを受け入れることで我々の罪は全て赦されるのだ。その事実を受け入れた人間こそが、「クリスチャン」なのである。もし我々が、その事実をまのあたりにしながらも、かたくなに否定し続けるとしたらどうか。おまえを愛している、だからこの愛を受け取りなさい、というその呼びかけを無視し続けたとしたらどうか。
しかしそれでもなお、それを無視し続けている存在、それこそが我々人間なのである。
次回は、イエスの十字架についてもっと深く掘り下げていきたいと思う。
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